PSI 税の正義

29 September, 2016
Source: 
PSI
背景:2012年世界大会の決議と以前のEB会議を受け、PSIは税の正義に向けた戦いを世界的にリードする立場を確立した。PSIは、世界的に税の正義のイニシアチブが発揮できる3つの主なイベントで中心に立った。これらは、開発資金国際会議や、OECDの税源浸食と利益移転(BEPS)プロジェクトの完了など、これまで設けられた世界的な政策決定の多くの舞台に影響力を行使する狙いである。

議論:

税に関するグローバル労働サミット

世界の税制が破綻すると、すべての労働者に影響が及ぶ。税制を成功させるためには、税の正義を求める戦いに、すべての労働運動が関わっていかなければならない。現在機会があるにもかかわらず、民間部門の組合、ナショナルセンター、ITUCでは、活動における税の正義の優先度は低いままだ。PSIはFESの支援で、税に関するグローバル労働サミットを開催した。サミットは、世界各地の組合が、労働者にとって税の正義が大切であることを理解し、変化を起こし、行動にコミットする機会を把握するよう取り組むもの (http://www.world-psi.org/sites/default/files/en_detailedprogramme_final.pdf)。

税サミットには、25か国以上から組合リーダーが参加した。講演者は次のとおり:サイモン・バウワーズ(ガーディアン紙ビジネス特派員)、ルディー・ド・リーウ(ITUC副会長、ベルギーFGTB会長)、クリシェン・メータ(プライスウォーターハウスクーパース、前パートナー)、ラファエル・ルッソ(OECD BEPSプロジェクト長、アドリアーノ・カンポリナ(アクションエイドCEO)

PSIと国際運輸労連は、世界の石油大手、シェブロンによる数十億円規模の租税回避スキームの暴露に乗り出した。(http://www.world-psi.org/sites/default/files/attachment/media/jp_chevrontax_avoidancefinalletterhead_0.pdf

サミットでは、多国籍企業の法人税回避に標的を定めること、経済活動が発生する場所で企業に課税すること、政府間租税務機関の支援の重要性について、高いコンセンサスが得られた。また、企業リサーチの拡充、民間部門と公共部門の組合間協力の拡大、税の議論にジェンダーの観点をより確保すること、税の正義に関する資料の作成など、さまざまな優先行動を確約した。

ICRICT

PSIは国際企業課税の改革を求める独立委員会(ICRICT)運営委員会(SC)の創設メンバーであり、今年は委員長を務めた。ICRICTの創設を通じて、税に関する世界の議論において、信頼の置ける認知度の高い代替的な政策見解が確実に世界に提示されるようにする。委員会は元国連事務次長のホセ・アントニオ・オカンポ氏が委員長を務め、委員としてジョセフ・スティグリッツ、マグダレナ・セプルヴェーダ・カルモナ、エヴァ・ジョリー、イフエコ・オモウギ・オカウルが参加する。PSIはSCで世界労働運動を代表し、とくに宣言の作成に携わった。また、ICRICTのメディア戦略をとりまとめ、ICRICTのウェブサイトを作り、率先して資金調達に努めた(FESによる多大な支援の仲介も含む)(http://www.icrict.org/

ICRICTは昨年、結果をイタリアのトレントで発表し、PSIのローザ・パヴァネリ書記長は、発足にあたってスピーチをした(http://www.icrict.org/declaration/)。結果はCNN、BBC、ロイター、フィナンシャル・タイムズ、ルモンド、ラリパブリカ、ハンデルスブラット、ウォール・ストリート・ジャーナル、ガーディアン、ブルームバーグ、アルジャジーラなど多くの国際メディアでも広く取り上げられた(http://www.icrict.org/category/resources/press/)。

ICRICTは、開発資金国際会議に先立ち、エチオピアのアディスアベバでセッションを開催し、世界的な税務機関がFfDの文面に盛り込まれるよう働きかけた。世界的な税務機関は成果として挙げることができなかったが、圧力によって国連租税委員会のアップグレードが実現した。ICRICTの委員はG20首脳サミット、G20財務相会議、国連税委員会、IMF・世銀との会議、その他の世界的イベントにも参加した。

企業や慈善団体がICRICTの支援を拒否したことから、PSIは最近になって、加盟組合に財政支援を呼びかけた。この話はハフィントンポストとワシントンタイムズで報道されている。PSIの支援がなければ、ICRICTは今日存在しえなかったとの認識が広くなされている。PSIは寄せられた募金に対し、加盟組合の寛大の支援に感謝を表明する。ICRICTへの支援を希望する加盟組合は、PSI本部を通じて支援ができるので、支部を通じて申し出ていただきたい。

素晴らしき回避:マクドナルドの租税回避キャンペーン)

PSIとEPSUはSEIUと共に、「ファイト・フォー・フィフティーン」(Fight for Fifteen)キャンペーンを支援している。この中で、世界の公共部門組合、食品組合、市民社会組織がマクドナルドの多額租税回避慣行を暴くために行ってきた共同の取り組みが大きな要素となってきた。「Goldden Dodges」(素晴らしき回避)と 「アンハッピーセット」のリリースにより、この件がメディアで大きく取り上げられるようになり、世界全体でマクドナルドに圧力が高まった。http://www.world-psi.org/en/golden-dodges-how-mcdonalds-avoids-paying-its-fair-share-tax

アンハッピーセットの報告 http://www.world-psi.org/en/unhappy-meal-unions-expose-mcdonalds-tax-practices

http://www.notaxfraud.eu/ EUは先ごろ、マクドナルド社の租税回避戦略を調査するとの発表を行った。また、同様の調査の中で、EUはアップル社がアイルランドに190億米ドルの追徴税を支払う義務があるとした。

ILO労働者シンポジウム

PSIは、ILO、GUF、グローバルユニオン評議会で税改革のコミットメント形成を成功させてきた。また、大事な展開として、PSI書記長が2015年12月15日に開かれたグローバルサプライチェーンにおけるディーセントワークに関する国際労働者シンポジウムのオープニングパネルで、挨拶をしたことが挙げられる。書記長は、多国籍企業の租税回避が、世界で生産に携わる国と地域の社会経済的発展に与える影響を強調した。これは、税の正義に国際的な支援を確保するうえで、大きな前進となっている、シンポジウムは、2016年6月のILCにおける「グローバルサプライチェーンにおけるディーセントワーク」に関する一般討議の準備となり、結論では、税の正義と世界的な税制改革に言及がなされた。(http://www.ilo.org/wcmsp5/groups/public/---ed_dialogue/---actrav/documents/meetingdocument/wcms_453849.pdf

BEPS

これまで2年間のPSIの活動の大半は、世界の法人税ルールに対するOECD BEPSレビューに影響力を行使することが目的だった。OECDは2015年10月に最終成果を発表している。組合と市民社会のロビー活動は、各国報告や自動情報交換、条約乱用と有害な租税慣行の規制強化など、多国籍企業による税の乱用に取り組む上で、大きな進歩を生んできた。長い間変化に対する抵抗があったことをふまえると、このプロセスは重要な意味を持つ。しかしながら、デジタル情報での認知、外資の規制、移転価格設定ルールといった主な分野では、さまざまな税制改革が考えられたものの、これらは、企業の利害が米国やEUなどの大国への圧力を倍増させているので、受入れられなかった。PSIは、成果の最終分析を作成するBEPSの監視グループに参加している。(https://bepsmonitoringgroup.wordpress.com/2015/10/05/overall-evaluation/

BEPS後の政策議題

BEPSプロセスをめぐり、組合と市民社会の圧力が功を奏していることから、BEPS最終報告後の税の正義にも勢いが増している。とくにPSIは、租税競争(実際に企業に適用される国税率が、底辺に向かう競争の状態にあること)を受け入れる傾向が一般的に増大していることを明らかにした。PSIは2016年の取り組みとして、租税競争に反対することを政策で重視し、世界的な税制機関の発足を引き続き訴え、また、議会への年次報告によって、政府が企業に控除とインセンティブを認める流れを公開し、透明性を保つべきであることを主張した。先ごろのETUC大会では、最低25%の法人税率が求められたが、PSIもこれを支持する。

Country Activity

PSIのパートナーのFESと共に、アルゼンチン、カリブ諸国、ブラジル、メキシコ、インドネシア、ナイジェリア、ベニン、南アフリカ、チュニジア、ヨルダンでの国税会議、ならびにラテンアメリカとアフリカにおける地域租税会議を取り組んだ。ジェンダー平等に対する税の正義の意義を訴えて、PSIはジェンダーと税の正義フォーラムを2016年7月に開催した。また、米国、ヨーロッパ、オーストラリアの金融取引税キャンペーンなど、PSI加盟組合の多くも、独自の税キャンペーンを現地で行っている。またPSIのこの取り組みを助けるために、アフリカで税の正義を担当するオーガナイザーを採用したことも重要な点となる。

関連文書:

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